聞く力 −心をひらく35のヒント− 阿川佐和子(著)

いきなりですが、まずはこの文章から・・・

 感動的な話。涙なくしては聞けない切ない話。勇気を与えてくれるような清らかな話。手の込んだ可笑しい話。努力と我慢に満ちた話。つくづくダメな話。情けない話。
 人の話はそれぞれです。無口であろうと多弁であろうと、語り方が下手でも上手でも、ほんの些細な一言のなかに、聞く者の心に響く言葉が必ず潜んでいるものです。でもそれが、決して「立派な話」である必要はない。声の出し方、ちょっとした反応、表情、仕草、躊躇、照れ、熱意……。オチもないような下らぬ話の隙間にも、その人らしさや人格が表れていて、そこに共感したくなるような、なにか小さな魅力があれば、それだけでじゅうぶんです。そして、そんな話をする当の本人にとっても、自ら語ることにより、自分自身の心をもう一度見直し、何かを発見するきっかけになったとしたら、それだけで語る意味が生まれてきます。
 そのために、聞き手がもし必要とされる媒介だとするならば、私はそんな聞き手を目指したいと思います。(p253)


これは阿川佐和子さんの著書「聞く力 −心をひらく35のヒント−」のいちばん最後に書かれている文章です。


アガワさん(なぜこんな紹介をするのかは、本書を読んでくださいね)が伝えたかったことは、この文章に凝縮されていると思います。
この文章を読めば、この本1冊読んだようなもの!
といってもいいような〆の言葉だと思います。
でも、ちゃんと全部読んでくださいね(笑)



その他、私が線を引いた部分を数か所抜き出してみますね。

聞き手の誘導によって、ふっと、忘れかけていたエピソードを思い出すことがあります。初めて気づくこともあります。そういえば、あんなことがあったとか、語っているうちに、もしかして自分はこういうことが好きだったのかと、語り出してみて初めて、自分の脳みそが整理されることもあるのです。(p97)

こんな経験、みなさんにもありますよね??
私もあります。
確実に覚えているのは、Podcast番組の収録で美崎栄一郎さんとお話をさせていただいたとき。
美崎さんと話をすることで、自分では気づいていなかった自分の考え,思いを引き出してもらえた、そんな感じでした。
(その時の時事はこちら『Pocast「仕事の楽しさ研究所」に出演しました』


だから、自分の話を聴いて「俺って、実はこんなこといいことを考えてたんだ〜!」って自分で思いましたもん(;^_^A



話を聞く。親身になって話を聞く。それは、自分の意見を伝えようとか、自分がどうにかしてあげようとか、そういう欲を捨てて、ただひたすら「聞く」ことなのです。相手の話の間に入れるのは、「ちゃんと聞いていますよ」という合図。あるいは、「もっと聞きたいですねえ」という促しのサインだけ。そうすれば、人は自ずと、内に秘めた想いが言葉となって出てくるのではないでしょうか。(p149)

この話は、”あいづち”だけでいい、ということなのですが、相手がちゃんと聞いてくれていることがわかると、どんどん言葉が出てきますよね??
特に女性は・・・
うちの奥さんも「うんうん」とか「で?」と言いながら聞いていると、次から次に機関銃のように話してきます(笑)




でも、注意しなければいけないことも・・・

相手の話を聞きながら、「ああ、わかるわかる」と思うことは確かにありますが、その瞬間、「本当にわかってるのか、君は?」 と自分に問いかける作業も、同時にするよう心がけています。(p191)

これ・・・
私は「わかります、その気持ち」と言って、かえって相手を怒らせた経験があります。
自分が経験したことがないのに、相手がどんな気持ちかなんて、わかるわけがない、そんなときもあるんですよね。。。
気を付けましょう!




最後に

対談に出かけるときの服装を選ぶ際、その日、お会いするゲストの顔を思い浮かべます。そして、そのゲストの雰囲気に似合う服を選ぶようにしています。(p241)

これもマナー,梶原 しげるさんに言わせると「最上の敬語」ですね。
自分がどうしたいのか、ではなく、相手がどう思うか,相手にどう思われるか、自分はどう思われたいかを意識することが大切なんだと思います。
私も、出かける前にはその日の予定を確認して、だれと会うのか,どんな格好をしていくべきなのか、考えるようにしたいと思います!






この本には他にもアガワさんが経験されたいろんなエピソードが書かれています。


インタビュアー阿川佐和子経験談ですが、われわれ普通の人にも当てはめて応用できる話がたくさんあります。
コミュニケーションとしての「聞く力」をつけるタメになる話ばかりだと思います。


でも、エピソードの中や最後にはオチ?ネタ?が入ってたりして、吹き出しそうになったり・・・
楽しく読めますよ^^

本当に「お若い」ときは、誰も「お若い」なんて、言わないのにね。(p129)

とかね(笑)






ところで、この本のタイトルは「聞く力」ですが、
ここでいっている「聞く」というのは「聴く」ということなんだ、と思います。


どう違うかって・・・

「聴く」とは、ただ耳を貸すだけのことではない。
「聴」という文字が「耳」と「目」と「心」から成り立っていることは興味深い事実である。その一方、「聞」という文字は「耳」だけしか使われていない。本当の意味で聴くには、耳と目と心を合わせて聴かなければならない。
── ジェームス・スキナー(著) 成功の9ステップ より ──

アガワさんのこの本のタイトルは「聞く力」ですが、間違いなく「聴く力」のことですね^^




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